ファストフードの裏に隠れた訪日外国人の心理

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◆週4日マクドナルドに通う女性

固有名詞は気にしないで、軽い気持ちでお読みください。

地方の農村地域にお住まいですとか、都心部でも特定のグループの勢力が強いということがなければ、日本でお住まいの方で「あのスーパーで買い物をしたい」などと思うことは、ないと思います。

「春休みに、電車とバスを乗り継がないと行けないイオンモールで彼氏とデートしたい」ですとか、「ワタクシ、東急沿線に住んでおりますから、いつも東急か成城石井しか使っていませんの。一度でいいから西友で買い物してみたいざますわ」みたいなケースですね。

同じように、よほど何かがないと、わざわざ海外でそれにお金を使うのかなぁ、と思うものがあるのではないでしょうか。

日本ホストファミリー養成協会のメンバーで、週に4日はマクドナルドに行くというヘビーユーザーがいます(と言っても毎回コーヒー1杯しか注文しないのですが)。そのメンバーがアメリカに行った時、わざわざ1回だけマクドナルドに行ったそうです。

理由は「ウワサに聞くように本当にアメリカンなサイズで出てくるか試したかったから」とのこと。「Super Size Me というドキュメンタリーもあったことだし」と、このメンバーは言っていました。

よほどこういう理由がない限り、わざわざアメリカまで行ってまでして日本でも買えるものや、ジャンクなものに、お金を払う必要はないでしょうね。

実際、このメンバーも到着した空港でマクドナルドを利用した他はTボーン・ステーキやクラムチャウダーを楽しんでいました。ちなみにアメリカでTボーン・ステーキを食べたレストランはお屋敷を改装した超高級レストランとのこと。

アメリカだけでなく、フランスでは上等なワインにパンとムール貝を堪能し、ドイツでは色々なソーセージを片手に浴びるほどビールを飲み、台湾では屋台をハシゴして、スイスでは有機栽培のヨーグルト(!)が気に入ったそうな。

食べ物の話が続きましたが、お土産もそうでしょう。アジアの外に旅行したのにお土産に買ったものが Made in China と書かれていて気まずい思いをした経験がある人もいるのではないでしょうか。逆に日本から持っていくお土産が Made in Japan ではない別の国だったら、これもお土産をもらう人はガッカリしちゃうかもしれませんね。

 

◆今、日本のファストフードがアツい!

ところで最近、日本の都市部でファストフードを利用する外国人旅行者が増えていることにお気づきでしょうか。

残念ながらマクドナルドではこのような外国人旅行者は見られません。外国人旅行者を良く見かけるファストフードを順不同で挙げてみると、例えば松屋、吉野家、なか卯、てんや、富士そば、かつや、松乃屋…といったところでしょうか。

どういったファストフードが人気か、傾向がわかりますでしょうか?

全て和食のファストフードです。ちなみに回転寿司も外国人旅行者に人気のスポットですが、もうお寿司は海外でもかなり食べることができるようになっているので目新しさはないでしょう。

それに対応するように、松屋やなか卯といった食券を購入するタイプのお店では、券売機が外国語に対応したものに切り替えられているケースが増えてきました。タッチパネル式の回転寿司ではタッチパネルで外国語に切り替えるアイコンがついているお店が増えました。

3年ほど前に協会のメンバーが「てんや」にイギリス人の留学生を連れて行った時、お店の人は英語版のメニューを出してくれました。券売機ではないお店でも、このような対応が進んでいます。

 

 

◆わざわざ日本に来てファストフード?

ところで、お住いのエリアによっては「カツ丼なら、あのお店」「天丼なら、あそこ」といった名店があるのではないでしょうか。もちろんファストフードはファストフードで良いのですが、「わざわざ日本に来てファストフード?」と思う方もいると思います。

冒頭にも書きましたが、私達が海外に旅行する際、わざわざファストフードを食べるのは、よほど何か事情がある時でしょう。せっかく海外に来たのだから、地元の名店だったり名物だったりを堪能するでしょう。

協会のメンバーがてんやに留学生を連れて行ったのは、この留学生の懐を考慮してのことでした(実は、かなり日本でお金を使ったようでしたし、東京にいるのに名古屋空港から帰国するというミスをしてしまっていたのです)。

「お金を節約したい」「でも和食を楽しみたい」という思いがあると「ファストフードで和食」という選択が成り立ちます。

 

◆客層に注目

ちょっと古いデータですが、2014年にリクルートが実施した、日本に来る旅行者の出身地域として多い中国・台湾・香港・韓国・タイ・アメリカの旅行者を対象とした調査を紹介します。これらの地域からの旅行者が日本を旅行先に選ぶ理由として79.7%の人が「日本食を楽しむこと」を選んでいます。

つまり、日本に来たら日本の食べ物を食べたいのです。

協会のメンバーで、仕事の都合でお昼は外食になりがちなメンバーがいます。このメンバーが気付いたことですが、和食のファストフードが外国人旅行者を取り込む努力をしていることと、和食のファストフードを利用する外国人旅行者が増えてきたことに加えて、和食のファストフードを利用する外国人旅行者の客層に変化が出てきたと言います。

このメンバーによると、もちろん全員が全員そうだとは言いませんが、時としてファストフードで和食を食べている外国人旅行者の中には「今までの外国人旅行者よりも所得が低そうだな」と思える人が増えています。出身地も、今までよく日本に来ているエリアではなさそうな方が利用しているケースも増えてきています。

それも、親子連れを見ることが多いといいます。

このことから何が読み解けるでしょうか?

 

◆ヒントはバブル前後の日本人旅行者にある

バブル前後の日本人旅行者を思い出してください。例えばイタリアでは日本人旅行者(それも多くはOLさん)がこぞってカバンを買いに行きました。

そして、ニセモノのカバンも大量に買われました。ニセモノでも「イタリアで買ってきた」というのがオシャレだった時代が日本にもありました。

もちろんファストフードがニセモノだとは言いません。日本の和食系ファストフードは実にクオリティが高いです。

ただ、やはり「有名店の味」と比較したら、負けてしまうでしょう。それに有名店はお店の内装やサービスも含めて各店が努力をしています。

「それでも日本に来てファストフードでも和食を楽しみたい」というのがファストフードを利用する外国人旅行者のホンネではないでしょうか。

参考までに、松屋はニューヨークのほか上海にもありますが、カツ丼がメインのお店です。吉野家は海外に700以上の店舗があります。ちょっとしたトリビアかもしれませんが、てんやはインドネシア・タイ・フィリピンにしかありません(エビの産地かもしれませんね)。

こういう事情を考慮してみると、冒頭のマクドナルドの話ではありませんが、仮に海外在住者が近所に和食系のファストフードがあるとしても、日本に来てファストフードを利用してみたくなるかもしれませんね。

 

◆節約ができて和食が食べられる素晴らしいシステム

日本に来る外国人は、和食を楽しみたいです。そのためにはファストフードでも構わないから節約してでも日本に来たいのです。それも、できることなら美味しくて質の高いものが欲しいものです。

日本ホストファミリー養成協会では、ホームステイを受け入れる家庭(ホストファミリー)を増やすことを推進しています。ホームステイは何も一部の学生だけのものではありません。当コラムでも時々紹介しておりますが、実際に様々な外国人がホームステイを利用して日本に滞在しています。

ホームステイなら、「せっかく日本に来たのだからお手軽に本格的な日本の食事を楽しみたい」というニーズを簡単に満たすことができるのです。

もし食事提供を負担に感じられるようでしたら、「日本オリジナルのファーストフードもおもてなしになる」と考えていただくと、少しは気が軽くなるのではないでしょうか。

いろいろなおもてなしの形を工夫してみてくださいね。

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